「...玲奈、今暇?」
「え?」
部活中。
龍也が弓を運んでいるわたしを
呼び止めて言った一言。
龍也と話すのは久しぶりかも─。
龍也は強引にわたしから弓を
奪い取って
「手伝うよ。」といった。
「で...何?」
2人で倉庫まで言って誰もいないのを
確認してから話し始めた。
「...大宮九州いくってまぢ?」
噂ってすごいなー。
「...うん。まぢだけど。」
「玲奈はそれでいいわけっ!?
離れちゃうんだぜっ!?」
「...和也のことだから応援したい。」
「はぁ...まぢかよ。」
「うん、まぢ。」
すると龍也は睨むように私をチラっと
見てため息を吐いた。
「...ちょっとついてきてほしい
場所があるんだけど。」
「.....?」
─そう言って連れてこられた場所は...
「ここ...「そう、俺らの母校。」
龍也と出会った中学校─。
「なんで?」
「俺だって中学の頃の記憶全部ねえわけじゃ
ねえっつったろ?」
「あっ...ごめん。」
そうだった。龍矢の記憶に無いのは
私の存在だけ─。
「このグラウンド懐かしいなー。」
龍也は、どんどんグラウンドに入っていく。
「だっだめだよ。勝手に入ったら!」
「許可は先生から取ってるからっ。」

