和也Side

「はいはいっ。分かってますよ~。
玲ちゃんっ♪」

だんだん子犬も俺たちに
なついてくるようになった。

だけど子犬を見ると玲奈との
タイムリミットを思い出す。
少し胸の奥が痛くなるのは
...時間が近づいているから?

あの日から玲奈とは色んな場所に
出かけた。

思い出を作ろうって...。

水族館に遊園地。
動物園。ショッピングまで。
玲奈の憧れの図書館デートまで
付き合った。

─トントン ガチャッ

俺がまだ何も言ってもいないのに
玲奈はいつも勝手に部屋に入ってくる。

「和也っ♪映画見に行こうっ♪」

「はあ?もう金ねえっつーの。」

先月と今月でいくらつかったのか
分からない。
恐ろしくてサイフさえ中々見れねえ。

「...試写会当たったんだけどな~。」

「...行くか。」


─でも...映画は面白いどころじゃなかった。

って...ホラーじゃねえかよっ!

「玲奈、寝てるから終わったら起こして。」

「えええっ!?せっかくタダなのに
勿体無いよっ!見ようよ。あっ、もしかして
和也怖いの?」

「はっはあ!?怖いもなんもねえよ!」

でも...この映画はちょっとやべえだろ。

「じゃ、ちゃんと見てようね♪」

玲奈は怖がるどころか楽しんで見ている。
周りのカップルを見ると彼女が彼氏に
抱きついたりしてんだけどな。
なのに玲奈は、まったく怖がらねえ。

しばらくして横目でチラッと玲奈を見た。

「っ...?」

玲奈の目からはうっすら涙が
うかんでいた。
何で...?