「別にそんな「和也、嘘つくときって
私の目見てくれないよね。」
「っっ.....。」
頬が少し重たいような気がした。
「信じてるから。私は、和也のこと。
私ね、父親って存在に凄く凄く
憧れていたの。和也もそうでしょ?
だから今からでも家族の幸せって
ものをつかんでほしいの。」
玲奈は、真剣な顔で俺を見上げている。
「私は...ここで信じて待ってるから。」
「.....ごめん、な。」
「...うん─っ。」
俺は、玲奈の冷えた手を握り締めた。
いつもより冷たく感じたのは
気のせいだったのだろうか─?
そしてそのまま互いからキスをした。
「.....玲奈。」
「んー?」
「子犬、持って帰ろう。」
「へ?」
玲奈は、首をかしげた。
「家で飼うんだよ。玲奈がこのオスと
一緒にいて俺は、メスと一緒に
九州で暮らすんだ─。」
「え?ええっ?」
まだ意味が分かっていないようだな。
「寂しい時はこいつらいるから
少しは、いいんじゃねえかなってさ。」
すると玲奈の顔がパアッと明るく
なった。
「したらこの子犬の名前は、
和也にするよーっ♪」
「はあ?犬と一緒の名前かよ。」
「あ...。でっでもそれだとややこしいね。
じゃあ和にするっ♪」
「...変なの。...じゃあ、こいつは
玲...?」
「そうっ♪」
玲奈の笑顔が可愛くてつい頷いて
子犬の名前を和と玲にしてしまった。