─トントン

それから数分後のこと。
ボーっと音楽を聞いているとドアが
叩かれる音が聞こえた。

「誰?」

冷たく聞くと玲奈の声が聞こえる。

「和也。どうしたの?」

黙ってドアを開けるとタオルを
首にかけた玲奈がいた。
まだ髪も少しぬれている。

「あー...うん。ちょっと眠くてさ。」

「...和也、今から暇じゃない?」

時計を見ると19:00と出ている。

「暇...だけど?」

そう言って連れて来られた場所は...

「何?ここ。」

近くの空き地だった。

風呂上りのくせに薄着をして玲奈は
俺の事を外までひっぱりだして
連れてきた場所─...。
たしか昔よく遊んでいたな。

「しーっ。見て見て。可愛いでしょーっ♪」

玲奈が指差している方向には
子犬が2匹ダンボールの中で鳴いている。

「え?何これ。」

「捨ててった人いるみたい。ひどいよね。」

俺は、黙って頷いて子犬の頭を撫でた。

「オスとメスだって書いてあるよ。」

「ふうん.....。」

それからお互い何も言わないで子犬を
眺めていた。

でも玲奈がすぐに沈黙をやぶった。

「...行って来ていいよ。」

「...は?」

「だから...行って来て。九州に。」

「何言って「本当は和也迷ってる!
分かるもんっ。だから私の前だけでは
正直に答えてよっ。」