和也Side

コンビニで漫画を立ち読み
していたら誠がたまたま
通りかかって一緒に近くの
公園でおにぎりを食っている─。


誠に玲奈に九州に行くのか
どうか聞かれた。

「...まだ。」

「はあ...早く決めなきゃ大倉だって
不安がるだろ?」

「...玲奈には残るって言っておいた。」

「だったら何でお前迷ってんだよ。」

誠は苛立っているような顔つきだ。

「...自分だけの幸せを考えても
いいのかって思って...さ。」

本当にバカらしい話だ。

「母親は男いるんだろ?」

「血のつながりのねえ奴は...
信用できねえだろ。」

「大倉だってお前にとって血の
つながりなんてねえじゃん。
まあ、俺もだけどよ。」

それは...その通り。
だけど...

「まあ。でも...何つうか...
玲奈は身内っていう感じ?」

自分でも何が言いたいのか分からない。

「要するに信じてるってわけだろ?
おばさんもそうなんじゃね?
まあ、信じるってこともいいと
思うけどな。」

「う~ん。」

「その楠木さんって人ともゆっくり
積み重ねてお互いを知っていけば
いいんじゃねえの?」

「...そんなに時間かけて
間に合うのかよ?」

「時間ってお前はばかか。
時間かけなきゃわかんねえことも
たっくさんあるんだよ。」

俺と...玲奈に時間はあとどれくらい?
永遠?
それは、ないだろう。

なぜなら人はやがて死んで消えて
いくのだから。