「幾等でも時間があるわけじゃ
ねえんだよっ!玲奈のことも...
もっともっと考えてくれよ。」

「...考えているわよ。」

だったら何でだよ。

「だったら、和也はここに残る?」

はあー...?

驚いて声にもならなかった。

「だから、和也はそんなにここに
いたいなら残っていいのよ?」

「はは、何だよ。それ。」

意味分かんねえよ。

「結局母さんは自分の幸せしか
考えてねえのかよっ!?」

俺はベンチから立ち上がった。

「和也っ!どこいくのよ!?
これから楠木さんと一緒に3人で
夕食でもって思っていたのよ。」

俺は自分の足を叩いた。

「ざけんなよ!勝手にしろっつってんだ!
いい歳こいてふざけんじゃねえよ。」

母さんは呆然と俺が消えていく
姿を黙っておいかけもせずに
目で見送っていた。

母さんは...何も分かっていない。
母さんは俺たちの幸せなんて
考えていなくてずっと
自分の幸せだけを考えているんだって
勘違いしていた─。

でも...そんなことなかったんだ。



なあ、玲奈。
あの時俺はどうしていれば...
良かったんだろう?

ただ玲奈といたいって子供みたいな
ばかなわがままだったのか?

俺、ばかだからまだ分かんねえ。