「年内に...玲奈の母親
帰って来ねえんだよ。」

それが凄く心配。

「...だったら俺の家で暮らさせる?」

─バシッ

「冗談だっ!ばか!本気に
すんなよなー。」

俺は誠の頭を叩いていた。
でも今は冗談なんか聞いて
いられねえ。

「まあさ...お前がどうするかが一番の
問題なんじゃねえの?」

そんなの分かってる。

「...たぶん玲奈は、
行けって言うよな。」

「なんで分かるんだよ?」

「あいつも...俺と一緒で父親
いねえから。理由は、全然違えけどさ。」

玲奈はずっと父親に憧れているような
感じだったし...。

「あー、そりゃあ、な。絶対...な。
まあ、お前はそういうとこを
好きになったんじゃねえの?」

「...だな。」

でも正直最初出会った時は、
ただ優しい奴って
思って好きになった。
心も広そうでいつも笑っていて好きだった。
でもいきなり同棲してからは、最初の
印象なんてすぐに消えた。
けど、俺は、今の玲奈に惚れ直した。

「ちゃんと言えよ?大倉にさ。」

「ああ。」

ちゃんと─...玲奈に
伝える─。