数日前のことだ。

「あ...コホン...和也くん。大事な話を
したいんだけど...いいかな?」

西本と玲奈がいたカフェで
俺も楠木さんといた場所でのこと。

「あ...はい。」

玲奈たちのことが気になって
話に集中できなかったけど
あれだけは覚えているー。

「何ですか?」

楠木さんが中々喋りだそうとしないから
俺が問いかけた。
すると楠木さんは母さんを一度見て
頷いてから喋りだした。

「...僕とキミのお母さんの結婚を...
もし、認めてくれるんだったら...
ここから離れて暮らさなければ
ならなくなるんだ。」

「...は?」

「和也、口のきき方ダラしないわよ!」

母さんは途中で俺のことを睨んで
きていたがそんなのは全然
気にしなかった。

「僕は...1月の中旬に転勤することに
なっているんだ。それで...
もし結婚を和也くんも認めて
くれるなら...着いてきてほしい。
これから家族3人で暮らしていきたいって
思っているんだ─。」

頭がついていかない。
ここから離れる?一体どこへ?
もうここへは戻ってこれない?
聞きたいことがいっぱいある。
分からない事がいっぱいある。

けどこれだけは分かる。
結婚を認めたら、玲奈と離れ離れに
なってしまうこと。

「それは...いつまでに決めなければ
ならないんですか?」

「...年内までには決めてほしい。
もしよければ籍もすぐに
入れたいと思っているんだ。」

母さんの幸せをろつか自分の幸せを
とるかってこと─。