「.....。」

俺はずっと黙ってた。
そんな俺を無視して西本は
まだこう続ける。

「俺は大宮みたいなばかな
まねはしねえぞ。...っっ!?」

俺は弓を西本に向けていた。

「黙れよ。じゃなきゃお前が
二度とその汚い口で喋れないように
打つぞ。」

「っっ.....ふっ、打てば...いいだろ。」

西本は最初は顔色が一気に
悪くなったがすぐにいつもどおりに
戻って余裕そうに鼻で笑った。
それが苛立って仕方がない。

「お前は鈴なの事を何も
考えてねえんだな。」

西本は俺を睨みながらそう呟いた。

「は.....?」

俺が...玲奈のことを何も考えて
ない?そんなわけねえ。

弓がギシギシ鳴る。

「そうだろ?じゃなきゃこんなマネ
できねえじゃんかよ?
今のお前を玲奈が見たらどう
思うのかねー。」

「っっ.....。」

俺は弓を的に向け変えてそのまま
打った。

「っち.....。」

もちろんまた外した。

「ふっ。」

西本はそれをみてまた鼻で
笑いながら矢を的の真ん中に当てた。

「ざまあ。」

西本は口笛を吹きながら更衣室に
消えていった。