「でもよ、たまに夢に出てくるんだ。
大倉が俺の下の名前で呼んで笑って
いる姿が。」
「そう...か。」
言わなきゃ。付き合ってる事。
でも...言いづらい。
「あのさ...大宮と玲奈「あ、俺眠く
なったから寝るな。」
「....おう。」
逃げたんだ。目の前のことから。
玲奈からも...西本からも...
そして...自分からも俺は逃げたんだ。
あとでちゃんと言うから大丈夫。
そんな嘘を俺は自分に言い聞かせていた。
玲奈を苦しめたくない。
俺は...玲奈にどうすることが
できるんだろう?
眠ったフリをして
ずっと考えて、考えていた。
──────
「あっちーい!」
今日の予定は他校との練習試合。
でも、暑くてそれどころではない。
さっきは早速玲奈が他校の奴に
ナンパされているのをみたし。
玲奈はちゃんと断っていたけど
...とにかくこの合宿が不安で
たまらなかった。
「っち...。」
「おーい。和也今日調子悪いぞ。」
誠は笑いながら俺の肩に手を
乗せる。
俺はソレを振り払った。
「和也ご機嫌悪いですかー?」
「...暑苦しいから離れろ。」
そう言ってまた弓を持ちなおす。
今日はまだ1回しか当たってない。
弓が重くてすぐに離してしまう。

