音が鳴らないように...
ゆっくり─...ゆっくり開けると...。

「え...??」

泣いている...?

お仏壇の前で泣いている人がいた。

この人は...

和也...。

「ウッ...ウッ...。」

和也はアルバムをめくってないていた。

遠くからだったから写真はよくみえなかったけど1枚だけ小さな男の子と背の高い顔が整った男の人が写っている写真がみえた。

これはきっと─...。

和也なのだろう...。

そして私はゆっくりドアをしめた。

私には入れるような部屋ではなかった。

私が足を踏み入れていい過去ではなかった。

そう思ったから─...。

フライパンをもどしてヘルメットを和也の部屋に戻して
物音がたたないようにゆっくり階段をのぼって自分の部屋へ戻った。

お父さんという存在がいても...
和也だって私と同じくらい悲しいんだから。

いきなり大切な人がこの世からいなくなる。
それだけで悲しい。

世界が真っ暗になってしまうだろう...。

私のお父さんはこの世にきっといる...。

いまどうしているのかわからない...。

でも幸せであってほしい─...。