こんなこと和也に
話すつもりなんて
なかったのに...。

「俺もさびしーんだ。」

「へ...?」

和也...いま寂しいって言った?

「俺も...寂しい。」

「なんで...?」

「俺の家も父さんいねーじゃん?
俺の父さん俺が6歳ぐらいの時に
死んだの。交通事故でさ。だから
俺と母さんずっと2人だったわけ。」

「そっか...。」

寂しいのは私だけじゃ
なかったんだ...。

「なのによ...。」

「へ...?」

「なのに...母さん彼氏いるんだよな。父さんのこと忘れたのかよって感じだよ...。だから今日もいないわけ。いっつもこうなの。ほんと笑っちゃうよな。」

「和也...。」

「あのばばあ...だから腹立つんだよ。」

「そっか...。」

そんな和也に私は何も
言ってあげれない...。

だって私のお父さんはこの世のどこかで
生きているんだろうけど...

和也のお父さんはこの世には...
存在しないのだから...。