鈴木が歌い 俺は聴く。 ちょくちょく 隣のボックスが気になったが 男の歌声が聴こえてくるので 大丈夫だろう。 「どうする? この野太い声が 有栖だったら」 鈴木が歌い終わり 言った。 「いつもの有栖の声って 地声なのか?」 「さぁ? 男でも女っぽい声を するやついるし」 すると男性の歌声が ぱたりと止んだ。 まさか…っ ガタッ 「待て。 10秒待て」