迎えに来たのはウォルターだった。
王の塔までの長い廊下を歩いていく二人。
「エミリー様、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。お二人ともお優しい方ですから」
さっきから緊張の色を隠せないでいるエミリーに気遣い、話しかけるウォルター。
そんなこと言われても・・・どうしてこんな事態になったのか。
テラスでの出来事に加え、これで今日は二度目の緊急事態だ。
―――ドッキリじゃあるまいし・・・今日は心臓が忙しい日ね・・・。
暫く歩いていると、ウォルターが観音開きのドアの前で停まった。
「エミリー様がお見えです」
ウォルターの声が廊下に響くと、扉がさっと両側に開かれた。
途端に目に入る煌びやかなシャンデリアと豪奢な作りのテーブルと椅子。
長いテーブルの真ん中には果物がこんもりと形良く盛られ、その両脇には美しい花が綺麗に飾られている。
奥の席には国王様と皇后様が並んで座っている。
パトリックは手前側の真ん中の席に座って、なんだか驚いたような顔で此方を見ている。
アランはというと、いつの間にか横に立っていて、此方に腕を差し出していて、手が取られるのを待っていた。
「急にすまない・・・大丈夫か?」
囁くように言うと、腕を心配そうに見るアラン。
「はい。平気です」
差し出されている手にそっと手を置くと、国王様の元へ歩き出した。
「父君、母君、エミリーです」
アランに背中を押され、御前に進み出る。
「お初にお目にかかります。エミリー・モーガンと申します。今夜はお招きいただき光栄至極に存じます」
ドレスの端を持ち、丁寧に膝を折り頭を下げる。
「うむ、そなた異国から参ったそうじゃな?是非、異国の話を聞かせてくれぬか」
「はい、喜んで」
考えていたよりも、優しげな国王の態度に安心し、自然に笑みが零れる。
その表情に、国王と皇后は顔を見合わせて微笑み合う。
「塔の中に隠すのも分かるのう、皇后よ」
「えぇ、本当に。やっとお会いできましたわ。もうずいぶん前からお願いしておりましたのに」
「父君、母君・・・」
アランがそれ以上は勘弁してくれと言いたげな表情を二人に向ける。
その困ったような表情はエミリーからは見えない。
「まぁ、あなたのそんな表情は久方ぶりに見ました。子供のころ以来ですね」
皇后が可笑しそうにクスッと笑う。
王の塔までの長い廊下を歩いていく二人。
「エミリー様、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。お二人ともお優しい方ですから」
さっきから緊張の色を隠せないでいるエミリーに気遣い、話しかけるウォルター。
そんなこと言われても・・・どうしてこんな事態になったのか。
テラスでの出来事に加え、これで今日は二度目の緊急事態だ。
―――ドッキリじゃあるまいし・・・今日は心臓が忙しい日ね・・・。
暫く歩いていると、ウォルターが観音開きのドアの前で停まった。
「エミリー様がお見えです」
ウォルターの声が廊下に響くと、扉がさっと両側に開かれた。
途端に目に入る煌びやかなシャンデリアと豪奢な作りのテーブルと椅子。
長いテーブルの真ん中には果物がこんもりと形良く盛られ、その両脇には美しい花が綺麗に飾られている。
奥の席には国王様と皇后様が並んで座っている。
パトリックは手前側の真ん中の席に座って、なんだか驚いたような顔で此方を見ている。
アランはというと、いつの間にか横に立っていて、此方に腕を差し出していて、手が取られるのを待っていた。
「急にすまない・・・大丈夫か?」
囁くように言うと、腕を心配そうに見るアラン。
「はい。平気です」
差し出されている手にそっと手を置くと、国王様の元へ歩き出した。
「父君、母君、エミリーです」
アランに背中を押され、御前に進み出る。
「お初にお目にかかります。エミリー・モーガンと申します。今夜はお招きいただき光栄至極に存じます」
ドレスの端を持ち、丁寧に膝を折り頭を下げる。
「うむ、そなた異国から参ったそうじゃな?是非、異国の話を聞かせてくれぬか」
「はい、喜んで」
考えていたよりも、優しげな国王の態度に安心し、自然に笑みが零れる。
その表情に、国王と皇后は顔を見合わせて微笑み合う。
「塔の中に隠すのも分かるのう、皇后よ」
「えぇ、本当に。やっとお会いできましたわ。もうずいぶん前からお願いしておりましたのに」
「父君、母君・・・」
アランがそれ以上は勘弁してくれと言いたげな表情を二人に向ける。
その困ったような表情はエミリーからは見えない。
「まぁ、あなたのそんな表情は久方ぶりに見ました。子供のころ以来ですね」
皇后が可笑しそうにクスッと笑う。


