眉を寄せて真っ直ぐに見つめてくる真剣な表情は、怖いくらいの威厳を感じる。
一生懸命考えておいた言い訳を忘れてしまい、あたふたと瞳をあちこち彷徨わせる。
いままでアランと話す時は、いつも目の前にはテーブルなどの家具があり、とりあえず一定の距離があった。
でも、今は違う。
目の前で風に靡く銀髪と優しく腕を包む大きな手。
真っ直ぐに向けられるブルーの瞳に映る自分の姿。
初めての至近距離にトクントクンと心臓は波打ち始める。
徐々に赤く染まっていく頬を隠すように俯くエミリー。
「ぁ・・ぇ・・・えっと・・・その・・・転びました」
瞳を反らし俯いたまま、やっとの思いで小さな声を出した。
「それは本当か?」
今まで包まれていた腕が丁寧に膝に戻されると、今度は両頬に差し込まれ、ふわりと包むと上を向かされた。
包まれた頬がたちまち熱を帯びる。
目の前には吸い込まれそうな深いブルーの瞳。
「本当に、転んだのか?」
眉を寄せ、確認するように問い掛けてくるアラン。
「はい―――」
返事をしながらも焦るエミリー。
さっきより、ますます近づいたブルーの瞳から逃げたくても逃げられない。
とにかくこの手を離してほしい。
頬を包む手を外そうと、袖をぎゅっと掴んでアピールしてみる。
そんな微力な抵抗も無視し、再び問い掛けてくるアラン。
「医官には見せたのか?」
「はい。軽い捻挫だそうです・・・」
「不自由はないか?」
「はい・・・大丈夫です・・・」
腕は大丈夫だけど、心臓の方が大丈夫ではない。
さっきから、この短時間で一生分働いているのではないかと思うくらいに脈打っている。
もしかしたら、そのうち口から出てきちゃうかも。
そんなことを考えていると頬を包んでいた手が漸く離された。
ホッと安堵の息を漏らすエミリー。
しかしこの後、さらに状況は悪化していく―――
一生懸命考えておいた言い訳を忘れてしまい、あたふたと瞳をあちこち彷徨わせる。
いままでアランと話す時は、いつも目の前にはテーブルなどの家具があり、とりあえず一定の距離があった。
でも、今は違う。
目の前で風に靡く銀髪と優しく腕を包む大きな手。
真っ直ぐに向けられるブルーの瞳に映る自分の姿。
初めての至近距離にトクントクンと心臓は波打ち始める。
徐々に赤く染まっていく頬を隠すように俯くエミリー。
「ぁ・・ぇ・・・えっと・・・その・・・転びました」
瞳を反らし俯いたまま、やっとの思いで小さな声を出した。
「それは本当か?」
今まで包まれていた腕が丁寧に膝に戻されると、今度は両頬に差し込まれ、ふわりと包むと上を向かされた。
包まれた頬がたちまち熱を帯びる。
目の前には吸い込まれそうな深いブルーの瞳。
「本当に、転んだのか?」
眉を寄せ、確認するように問い掛けてくるアラン。
「はい―――」
返事をしながらも焦るエミリー。
さっきより、ますます近づいたブルーの瞳から逃げたくても逃げられない。
とにかくこの手を離してほしい。
頬を包む手を外そうと、袖をぎゅっと掴んでアピールしてみる。
そんな微力な抵抗も無視し、再び問い掛けてくるアラン。
「医官には見せたのか?」
「はい。軽い捻挫だそうです・・・」
「不自由はないか?」
「はい・・・大丈夫です・・・」
腕は大丈夫だけど、心臓の方が大丈夫ではない。
さっきから、この短時間で一生分働いているのではないかと思うくらいに脈打っている。
もしかしたら、そのうち口から出てきちゃうかも。
そんなことを考えていると頬を包んでいた手が漸く離された。
ホッと安堵の息を漏らすエミリー。
しかしこの後、さらに状況は悪化していく―――


