いつもの午前の時間、エミリーがギディオンの歴史を学んでいる頃―――
ギディオンの国境近くの道を進む馬車の一行。
黒塗りに金の装飾の馬車には王家の紋章旗が風に靡いている。
兵士の乗る馬たちの頭にも紋章付きの頭飾りが着けられている。
ラステアからの出立が遅れたため、国境に辿り着くのが遅れてしまい、昨夜は警備塔のある国境の街ヘビンで宿泊したアランたち。
今はギディオン城を目指し、森に囲まれた道をひたすら進んでいる。
ラステアを離れる際、お土産にと戴いた沢山の荷物は全部一つの荷馬車に押し込んである。
そのおかげで行きよりも数倍重くなった荷車に、馬たちは昨日から疲弊気味だ。
行者がいくら鞭を奮ってもスピードは増すことがない。
ヘビンを出て3時間は経っている。
時刻はもう昼に近い。
少し平坦な草原のある丘まで来ると、アランは馬車を止めた。
「この丘で休憩を取る。馬たちに水と飼葉を。皆も食事を取るように」
ヘビンから城へと続く道のりは、最後の峠越えを残すのみとなった。
本当は一刻も早く城に戻りたいのだが、目の前の峠はとても険しい。
ここで休んでおかないと馬たちがダメになってしまう。
アランは昼食を軽く済ませると、水を飲んでいる馬たちの鼻面を撫でた。
「あともう少し頑張ってくれ」
鼻面を撫でられた馬たちは嬉しそうに鼻を鳴らす。
兵士たちはヘビンのコック長が作った弁当をすでに平らげ、各々出発の準備を始めている。
ウォルターが報告にやってきた。
「アラン様、皆準備が整いました」
その言葉に頷くとマントを翻し、再び馬車に乗り込んだ。
ギディオンの国境近くの道を進む馬車の一行。
黒塗りに金の装飾の馬車には王家の紋章旗が風に靡いている。
兵士の乗る馬たちの頭にも紋章付きの頭飾りが着けられている。
ラステアからの出立が遅れたため、国境に辿り着くのが遅れてしまい、昨夜は警備塔のある国境の街ヘビンで宿泊したアランたち。
今はギディオン城を目指し、森に囲まれた道をひたすら進んでいる。
ラステアを離れる際、お土産にと戴いた沢山の荷物は全部一つの荷馬車に押し込んである。
そのおかげで行きよりも数倍重くなった荷車に、馬たちは昨日から疲弊気味だ。
行者がいくら鞭を奮ってもスピードは増すことがない。
ヘビンを出て3時間は経っている。
時刻はもう昼に近い。
少し平坦な草原のある丘まで来ると、アランは馬車を止めた。
「この丘で休憩を取る。馬たちに水と飼葉を。皆も食事を取るように」
ヘビンから城へと続く道のりは、最後の峠越えを残すのみとなった。
本当は一刻も早く城に戻りたいのだが、目の前の峠はとても険しい。
ここで休んでおかないと馬たちがダメになってしまう。
アランは昼食を軽く済ませると、水を飲んでいる馬たちの鼻面を撫でた。
「あともう少し頑張ってくれ」
鼻面を撫でられた馬たちは嬉しそうに鼻を鳴らす。
兵士たちはヘビンのコック長が作った弁当をすでに平らげ、各々出発の準備を始めている。
ウォルターが報告にやってきた。
「アラン様、皆準備が整いました」
その言葉に頷くとマントを翻し、再び馬車に乗り込んだ。


