「これは、想像以上だわ・・・」
エミリーは薔薇園の入口に立って息を飲む。
蔓性の薔薇で作られた入口はアーチ状にいくつも連なっており、
薔薇の花のトンネルのようになっている。
骨組みにびっしりと絡まった蔓からは、ピンクと白の花がちらほら咲いているのが見える。
満開になれば、さぞかし見事だろう。
そのトンネルの両脇に園を囲うように作られた柵にも蔓が延び
そちらは種類が違うのか、零れるような赤い花を惜しげもなく咲かせている。
入口がこうなら、園の中はもっと素敵だろう。
アメジストの瞳が期待にキラキラと輝き、ピンクの唇からは自然に笑みが零れる。
トンネルを抜けていくと、そこには色とりどりの薔薇の世界が広がっていた。
それに、城の敷地の中にあるとは思えないほど広い。
散策用の小道が作られた両脇には隙間もないほどに薔薇が植えられ
まだ蕾の方が多いが、赤や黄色の花弁を開かせている。
暫く進んで行くと石畳で作られた広場と噴水が見えてきた。
少し小さめのそれは、中央に綺麗な女性像があり、薔薇の花を象った石の彫刻に手に持った壺から水を注いでいる。
噴水の周りにはベンチが数個置かれ、休憩できるようになっている。
小道が続くそのはるか向こうに煉瓦作りの小屋があるのが見え、その先にも薔薇が規則的に植えられている。
「思っていたよりも、はるかに広いわ」
エミリーは温かな日差しの差すベンチに座った。
空は蒼く澄み渡り、風はそよそよと吹いている。
咲き誇る花にはミツバチや蝶が飛び交っている。
なんて気持ちが良いのだろう。
こんなにのんびりとした気分になるのは久しぶりだ。
この世界に来てからというもの、勉学にダンスのレッスンに忙しかった。
それにメイをはじめとする過保護すぎる対応に少々気疲れもしている。
本当にこの城の皆は、わたしのことを何だと思っているのだろう。
異国から来た娘だから、多分気を使ってくれているんだろうけど
もっと、普通に接してほしいと思う。
噴水には白い小鳥が2羽水を飲みにやってきた。
縁をチョンチョンと歩く仕草はとても可愛い。
揺らぐ噴水の水を眺めながら、エミリーはのんびりとした午後のひと時を楽しんでいた。
そんなエミリーの気分をぶち壊すようなことが、この後起こってしまう
エミリーは薔薇園の入口に立って息を飲む。
蔓性の薔薇で作られた入口はアーチ状にいくつも連なっており、
薔薇の花のトンネルのようになっている。
骨組みにびっしりと絡まった蔓からは、ピンクと白の花がちらほら咲いているのが見える。
満開になれば、さぞかし見事だろう。
そのトンネルの両脇に園を囲うように作られた柵にも蔓が延び
そちらは種類が違うのか、零れるような赤い花を惜しげもなく咲かせている。
入口がこうなら、園の中はもっと素敵だろう。
アメジストの瞳が期待にキラキラと輝き、ピンクの唇からは自然に笑みが零れる。
トンネルを抜けていくと、そこには色とりどりの薔薇の世界が広がっていた。
それに、城の敷地の中にあるとは思えないほど広い。
散策用の小道が作られた両脇には隙間もないほどに薔薇が植えられ
まだ蕾の方が多いが、赤や黄色の花弁を開かせている。
暫く進んで行くと石畳で作られた広場と噴水が見えてきた。
少し小さめのそれは、中央に綺麗な女性像があり、薔薇の花を象った石の彫刻に手に持った壺から水を注いでいる。
噴水の周りにはベンチが数個置かれ、休憩できるようになっている。
小道が続くそのはるか向こうに煉瓦作りの小屋があるのが見え、その先にも薔薇が規則的に植えられている。
「思っていたよりも、はるかに広いわ」
エミリーは温かな日差しの差すベンチに座った。
空は蒼く澄み渡り、風はそよそよと吹いている。
咲き誇る花にはミツバチや蝶が飛び交っている。
なんて気持ちが良いのだろう。
こんなにのんびりとした気分になるのは久しぶりだ。
この世界に来てからというもの、勉学にダンスのレッスンに忙しかった。
それにメイをはじめとする過保護すぎる対応に少々気疲れもしている。
本当にこの城の皆は、わたしのことを何だと思っているのだろう。
異国から来た娘だから、多分気を使ってくれているんだろうけど
もっと、普通に接してほしいと思う。
噴水には白い小鳥が2羽水を飲みにやってきた。
縁をチョンチョンと歩く仕草はとても可愛い。
揺らぐ噴水の水を眺めながら、エミリーはのんびりとした午後のひと時を楽しんでいた。
そんなエミリーの気分をぶち壊すようなことが、この後起こってしまう


