そんなエミリーの姿に、気遣うようにそっと差し出される腕。
それに向けられたアメジストの瞳はうるうると濡れている。
睫毛にかかっている雫は今にも零れそうだ。
給仕の手には、白地に銀の縁取りの付いた封筒がある。
「アラン様より、エミリー様へとお手紙を預かっております」
手渡されたのは、王子の紋章印で封印されたもの。
およそ、普通の手紙とは思えないような重厚な印象を受ける。
一体何が書かれているのだろうか。
手紙を見つめながら戸惑っていると、ペーパーナイフを渡された。
給仕は無言だが、その目は”開けろ”と言っている。
エミリーは印のある場所にナイフを差し込み、封を開けた。
中には、薄紫色のメッセージカードが1枚としおりが一つ。
しおりは銀で作られていて、国の花であるシャクジの花が彫られている。
「綺麗・・・・」
銀のしおりは朝日を受けてキラキラと目映い。
メッセージカードには、簡潔な文章が丁寧な文字で綴られている。
『国王の命により、5日間ラステアに行ってくる
留守の間、城の警備が手薄になるから気をつけるように
私がいない間は、あまり出歩かないで欲しい
アラン・ランカスター・ギディオン』
”あまり出歩かないで欲しい”
って言われても・・・・・。
そもそもエミリーの行動範囲は狭く、ごく限られている。
あまり庭にも出たことがないのだ。
多分、いつも通り行動すればいいだろう。
城はいつも安全なのに、自分に護衛なんてオーバーだと常々思っているエミリー。
この忠告を聞いておけばよかったと、後に後悔することになるのだが
そんなことは、思いもしない。
それよりも、手紙を残してくれたことが嬉しい。
「あの本、読もうかしら」
しおりを見つめながら、パトリックに取ってもらったあの本を思い出す。
確かあの本は部屋の書棚の中に入れたはずだ。
カードとしおりを丁寧に仕舞うと、給仕に「ありがとう」と微笑み
まだ少し湯気の立っているスープを口に運んだ。
それに向けられたアメジストの瞳はうるうると濡れている。
睫毛にかかっている雫は今にも零れそうだ。
給仕の手には、白地に銀の縁取りの付いた封筒がある。
「アラン様より、エミリー様へとお手紙を預かっております」
手渡されたのは、王子の紋章印で封印されたもの。
およそ、普通の手紙とは思えないような重厚な印象を受ける。
一体何が書かれているのだろうか。
手紙を見つめながら戸惑っていると、ペーパーナイフを渡された。
給仕は無言だが、その目は”開けろ”と言っている。
エミリーは印のある場所にナイフを差し込み、封を開けた。
中には、薄紫色のメッセージカードが1枚としおりが一つ。
しおりは銀で作られていて、国の花であるシャクジの花が彫られている。
「綺麗・・・・」
銀のしおりは朝日を受けてキラキラと目映い。
メッセージカードには、簡潔な文章が丁寧な文字で綴られている。
『国王の命により、5日間ラステアに行ってくる
留守の間、城の警備が手薄になるから気をつけるように
私がいない間は、あまり出歩かないで欲しい
アラン・ランカスター・ギディオン』
”あまり出歩かないで欲しい”
って言われても・・・・・。
そもそもエミリーの行動範囲は狭く、ごく限られている。
あまり庭にも出たことがないのだ。
多分、いつも通り行動すればいいだろう。
城はいつも安全なのに、自分に護衛なんてオーバーだと常々思っているエミリー。
この忠告を聞いておけばよかったと、後に後悔することになるのだが
そんなことは、思いもしない。
それよりも、手紙を残してくれたことが嬉しい。
「あの本、読もうかしら」
しおりを見つめながら、パトリックに取ってもらったあの本を思い出す。
確かあの本は部屋の書棚の中に入れたはずだ。
カードとしおりを丁寧に仕舞うと、給仕に「ありがとう」と微笑み
まだ少し湯気の立っているスープを口に運んだ。


