冗談なのか本気なのか判らないことを言いながら、切なげに笑うパトリックの瞳は、真剣なものだった。
「パトリック様―――」
ウォルターは何を言っていいのか一瞬分からなくなった。
――確かにこの方のお気持ちは知っている。
アラン様も何を考えておられるのか。この方にお任せするなど・・・。
「ご冗談を。本気のあなた様は、とても私では太刀打ち出来ません。アラン様にしか止められません。従って、どうかご自重下さい」
「そうだな・・・分かった。努力するよ」
ウォルターの肩にポンと手を置いて、傘を渡して蹲る身体にそっと近付いた。
「エミリー、どうしたんだい?皆が心配しているよ」
凍える身体に、ふわっとあたたかい上着が掛けられた。
「パトリックさん・・・どうしてここに居るんですか?」
涙に濡れるアメジストの瞳。
ブロンドの髪から雫がぽたぽたと落ち、水屋の床を濡らしている。
服も濡れ、唇が寒さにふるふると震えていた。
「護衛の知らせが届いてね。アランに迎えに行くように頼まれた。そのままでは風邪を引く。塔に戻ったほうがいい」
俯いたまま首だけが横に振れ、か細い声が聞こえてきた。
「アラン様が・・・・・いいの・・・風邪をひいても」
「駄目だ。君が良くても私が困る。それにほら、君だけでなく、あそこにいるウォルターも風邪をひいてしまうよ?」
――全く、あいつは・・・。傘を渡したのに、何故差していないんだ?
「―――彼は君が戻るまで、死んでもあそこから動かないだろう。彼はそういう男だ」
「ぁ・・・ごめんなさい。ウォルターさんには帰るように伝えて下さい。わたしは―――」
雨に濡れたまま立っているウォルターを見て、そう呟くとまた俯いてしまった。
「塔には戻りたくない・・・か。困ったな」
パトリックの瞳が、遠くにある小さな小屋に止まった。
「よし、ではこうしよう。この少し先に小さな小屋がある。ひとまずそこに行こう。あそこには、暖炉もあるし、濡れた服を乾かせる。そこならいいだろう?」
エミリーは迷うように瞳を彷徨わせていたが、やがてコクリと頷いた。
「ウォルター、彼女をこの先の小屋に連れて行って休ませる。君は心配せずに、戻って体を温めるといい。そのままだと風邪をひくぞ」
「しかし、パトリック様。私はエミリー様の警備責任者です。ゆえに、お傍を離れることはできません」
「パトリック様―――」
ウォルターは何を言っていいのか一瞬分からなくなった。
――確かにこの方のお気持ちは知っている。
アラン様も何を考えておられるのか。この方にお任せするなど・・・。
「ご冗談を。本気のあなた様は、とても私では太刀打ち出来ません。アラン様にしか止められません。従って、どうかご自重下さい」
「そうだな・・・分かった。努力するよ」
ウォルターの肩にポンと手を置いて、傘を渡して蹲る身体にそっと近付いた。
「エミリー、どうしたんだい?皆が心配しているよ」
凍える身体に、ふわっとあたたかい上着が掛けられた。
「パトリックさん・・・どうしてここに居るんですか?」
涙に濡れるアメジストの瞳。
ブロンドの髪から雫がぽたぽたと落ち、水屋の床を濡らしている。
服も濡れ、唇が寒さにふるふると震えていた。
「護衛の知らせが届いてね。アランに迎えに行くように頼まれた。そのままでは風邪を引く。塔に戻ったほうがいい」
俯いたまま首だけが横に振れ、か細い声が聞こえてきた。
「アラン様が・・・・・いいの・・・風邪をひいても」
「駄目だ。君が良くても私が困る。それにほら、君だけでなく、あそこにいるウォルターも風邪をひいてしまうよ?」
――全く、あいつは・・・。傘を渡したのに、何故差していないんだ?
「―――彼は君が戻るまで、死んでもあそこから動かないだろう。彼はそういう男だ」
「ぁ・・・ごめんなさい。ウォルターさんには帰るように伝えて下さい。わたしは―――」
雨に濡れたまま立っているウォルターを見て、そう呟くとまた俯いてしまった。
「塔には戻りたくない・・・か。困ったな」
パトリックの瞳が、遠くにある小さな小屋に止まった。
「よし、ではこうしよう。この少し先に小さな小屋がある。ひとまずそこに行こう。あそこには、暖炉もあるし、濡れた服を乾かせる。そこならいいだろう?」
エミリーは迷うように瞳を彷徨わせていたが、やがてコクリと頷いた。
「ウォルター、彼女をこの先の小屋に連れて行って休ませる。君は心配せずに、戻って体を温めるといい。そのままだと風邪をひくぞ」
「しかし、パトリック様。私はエミリー様の警備責任者です。ゆえに、お傍を離れることはできません」


