「イヤ・・イヤです。お願いします。皆さんを罰するのなら、わたしも―――」
すがる様に見つめるエミリー。罰すると言うまで根気よく続きそうだ。
「全く、君は・・・。仕方がない。まさか、君がこんなことをするとは思っておらぬ故、塔の規律を教えてなかったことを、私は反省せねばならぬな。君への罰は、後程考えておく・・・それで良いか?」
この言葉に、安心したように頷くエミリー。
アランは、ブルーの瞳を哀しげに震わせ、肩に乗せていた手をすっと離した。
細い肩の上では暫くの間、掌が開いたり握られたり、迷うように彷徨っていた。
「しかし、この姿は・・・。料理長のコック服か?帽子もそうだな。髪を上げていても、コレは上手く隠れておる。そのような姿になってまで、こんな時刻に、こっそりと政務塔に参るとは・・・。此方に、余程の用事があるのか?」
薄くなってきた紅い刻印を、すーっと辿る武骨な指先。
ゾクッとする感覚に、しなやかな身体がピクッと震える。
「はい・・・どうしても、政務塔に・・行きたくて」
少しふらついた身体を支えようと伸ばした逞しい腕が、背中に触れる寸前でピタッと止まった。
掌がグッと握りしめられる・・・。
「もしや君は―――今夜此方で、何か、約束事でもあるのか?・・・例えば―――誰かに会うとか?」
「ぇ・・?・・約束なんて、ありません。ただ、わたしは、書籍室に・・・行きたいだけです」
無意識なのか、武骨な手が首に当てられ、親指がずっと赤い刻印を撫でている。
そのせいで、魔法にかけられたように、身体の力が徐々に抜けて行く。
ふらりとする身体。
堪らずに目の前にある胸に顔を埋め、きゅっと服を掴んだ。
「何故、書籍室に・・・?こんな時刻でなければダメなことなのか?」
耳元に触れていた指が後頭部にまわり、顔が胸に押し付けられた。
そのせいで、少しずれていたコック帽が完全に取れ、白い布がふわりと廊下に落ちていく。
豊かなブロンドの髪が、石鹸の香りを漂わせながらふんわりと背中に落ちた。
エミリーは、服を掴んでいた指にギュッと力を入れ、押しつけられている胸から何とか顔を離した。
薔薇色に染まった頬、潤んだアメジストの瞳が、哀しげに見下ろすアランの顔を見上げた。
「わたし・・・どうしても、欲しいものが・・・探したいものが、あるんです」
すがる様に見つめるエミリー。罰すると言うまで根気よく続きそうだ。
「全く、君は・・・。仕方がない。まさか、君がこんなことをするとは思っておらぬ故、塔の規律を教えてなかったことを、私は反省せねばならぬな。君への罰は、後程考えておく・・・それで良いか?」
この言葉に、安心したように頷くエミリー。
アランは、ブルーの瞳を哀しげに震わせ、肩に乗せていた手をすっと離した。
細い肩の上では暫くの間、掌が開いたり握られたり、迷うように彷徨っていた。
「しかし、この姿は・・・。料理長のコック服か?帽子もそうだな。髪を上げていても、コレは上手く隠れておる。そのような姿になってまで、こんな時刻に、こっそりと政務塔に参るとは・・・。此方に、余程の用事があるのか?」
薄くなってきた紅い刻印を、すーっと辿る武骨な指先。
ゾクッとする感覚に、しなやかな身体がピクッと震える。
「はい・・・どうしても、政務塔に・・行きたくて」
少しふらついた身体を支えようと伸ばした逞しい腕が、背中に触れる寸前でピタッと止まった。
掌がグッと握りしめられる・・・。
「もしや君は―――今夜此方で、何か、約束事でもあるのか?・・・例えば―――誰かに会うとか?」
「ぇ・・?・・約束なんて、ありません。ただ、わたしは、書籍室に・・・行きたいだけです」
無意識なのか、武骨な手が首に当てられ、親指がずっと赤い刻印を撫でている。
そのせいで、魔法にかけられたように、身体の力が徐々に抜けて行く。
ふらりとする身体。
堪らずに目の前にある胸に顔を埋め、きゅっと服を掴んだ。
「何故、書籍室に・・・?こんな時刻でなければダメなことなのか?」
耳元に触れていた指が後頭部にまわり、顔が胸に押し付けられた。
そのせいで、少しずれていたコック帽が完全に取れ、白い布がふわりと廊下に落ちていく。
豊かなブロンドの髪が、石鹸の香りを漂わせながらふんわりと背中に落ちた。
エミリーは、服を掴んでいた指にギュッと力を入れ、押しつけられている胸から何とか顔を離した。
薔薇色に染まった頬、潤んだアメジストの瞳が、哀しげに見下ろすアランの顔を見上げた。
「わたし・・・どうしても、欲しいものが・・・探したいものが、あるんです」


