その人は、今一番会いたくない人だった。
「ウォルター様、こんばんは」
「こんばんは。料理長、あなたが此方に来るなど珍しいですね。そちらの方は誰ですか?」
ウォルターが料理長の体に隠れるようにしている男の子を訝しげに見た。
「あぁ・・・知り合いの子です」
「知り合いの子?塔の中に入れるなど、私は何も聞いてませんが?」
ウォルターの怪訝そうな声。
挨拶してからずっと頭を下げたままの料理長。
その後ろでずっと俯いている小柄な男の子。
「すみません。今朝、急に世話を頼まれましたもので。ウォルター様に了承も得ず、すみません」
「急に・・・?」
ウォルターの眉が寄せられ、男の子を怪訝そうに見つめている。
「そうですか。しかし、これからは気を付けて下さい。正室の方が正式に決まろうとしている今、以前とは塔の中の状況が全く違うのです。僅かなことでも報告頂かないと困ります」
「はい、すみません。以後気をつけます」
「で?知り合いの方を、こんな時刻に、何処にお連れするつもりですか?政務塔は、もう業務終了しております」
「そうなんですが・・・廊下からチラッと見るだけでも日常の雰囲気を感じられるのでは、と思いまして・・・。すみません。急ぎますので、これで失礼します」
料理長は頭を深く下げたあと、ウォルターをチラリと見た。
すると、背中に貼り付いているように立っている男の子をじっと見ている。
その訝しげな表情に、焦りを感じる料理長。
「さ、時間がない。早く行こうか」
料理長が動き始めると男の子も歩き出す。
その姿を見たウォルターの瞳がスゥと見開かれた。
男の子とすれ違った瞬間に、思いは確信に変わり、迷いを振り切ったように鋭い声を出した。
「待て!料理長!」
素早く動いて、料理長の前に進路を塞ぐようにして立ちはだかるウォルター。
瞳は鋭く、真っ直ぐ料理長を見据えている。
「な、何ですか?急がないと、この子の迎えが来てしまいます」
自分の正面にいるウォルターの真剣な表情に、心臓がドクンドクンと脈打ち始める。
「料理長。本当に、その方は知り合いの子ですか?」
背中に隠れるようにしている男の子は、ウォルターが怖いのか、大きな体の影で身を固くしている。
「確認したいことがあります。塔の警備責任者として命じます。料理長、その子の帽子を取って下さい」
「ウォルター様、こんばんは」
「こんばんは。料理長、あなたが此方に来るなど珍しいですね。そちらの方は誰ですか?」
ウォルターが料理長の体に隠れるようにしている男の子を訝しげに見た。
「あぁ・・・知り合いの子です」
「知り合いの子?塔の中に入れるなど、私は何も聞いてませんが?」
ウォルターの怪訝そうな声。
挨拶してからずっと頭を下げたままの料理長。
その後ろでずっと俯いている小柄な男の子。
「すみません。今朝、急に世話を頼まれましたもので。ウォルター様に了承も得ず、すみません」
「急に・・・?」
ウォルターの眉が寄せられ、男の子を怪訝そうに見つめている。
「そうですか。しかし、これからは気を付けて下さい。正室の方が正式に決まろうとしている今、以前とは塔の中の状況が全く違うのです。僅かなことでも報告頂かないと困ります」
「はい、すみません。以後気をつけます」
「で?知り合いの方を、こんな時刻に、何処にお連れするつもりですか?政務塔は、もう業務終了しております」
「そうなんですが・・・廊下からチラッと見るだけでも日常の雰囲気を感じられるのでは、と思いまして・・・。すみません。急ぎますので、これで失礼します」
料理長は頭を深く下げたあと、ウォルターをチラリと見た。
すると、背中に貼り付いているように立っている男の子をじっと見ている。
その訝しげな表情に、焦りを感じる料理長。
「さ、時間がない。早く行こうか」
料理長が動き始めると男の子も歩き出す。
その姿を見たウォルターの瞳がスゥと見開かれた。
男の子とすれ違った瞬間に、思いは確信に変わり、迷いを振り切ったように鋭い声を出した。
「待て!料理長!」
素早く動いて、料理長の前に進路を塞ぐようにして立ちはだかるウォルター。
瞳は鋭く、真っ直ぐ料理長を見据えている。
「な、何ですか?急がないと、この子の迎えが来てしまいます」
自分の正面にいるウォルターの真剣な表情に、心臓がドクンドクンと脈打ち始める。
「料理長。本当に、その方は知り合いの子ですか?」
背中に隠れるようにしている男の子は、ウォルターが怖いのか、大きな体の影で身を固くしている。
「確認したいことがあります。塔の警備責任者として命じます。料理長、その子の帽子を取って下さい」


