自信ありげに人差し指を立ててウィンクをするメイ。その指がついでの様に動き、好物のすみれの砂糖漬けをつまんだ。
「そうです。もうこの先、何があっても、その方以外に氷の王子様の気を引くことなんて、誰にも出来っこありません」
シンプルなカップを両手で持ち、メイは意味ありげにエミリーを見てニッコリ笑った。
「心に決めた方・・・やっぱりそうなの?」
エミリーは、自信ありげに笑っているメイを見つめた。
「はい。エミリー様、そうです。そうに決まってます。最近のアラン様の行動を見ていれば分かります。これはもう太鼓判モノです」
――やっぱりそうなのね
思っていた通り、アラン様にはもう心に決めた方が・・・婚約者がいらっしゃる。
エミリーは俯いて両手でカップを握り締めた。
テーブルの上をじっと見つめるアメジストの瞳は、哀しげな色を放っている。
しかし、メイにはその瞳が見えない。俯いている姿は嬉しいけれども戸惑っていて、恥じらっているように見えた。
「あ、そういえば、侍女長が言ってましたけど、今年の月祭りには隣国の方々をご招待するそうですよ。えーと確か、ルーベンの王子様とラステアの姫君だとか言っていました」
「ルーベンの王子様とラステアの姫君?」
「確かお名前は・・・レオナルド様とマリア様で――」
――ルーベンは知らないけれど、ラステアはどこかで聞いたことがある・・・えっと・・・確か。
”ラステアに行ってくる”
そういえば、前にアラン様が訪問された国。そこに姫君が・・・
その方が、月祭りに、来る―――
「エミリー様、ラステアのマリア姫はとても綺麗な方だそうですよ。大臣様からアラン様のお妃にって話も出るほどです。ルーベンのレオナルド王子も素敵な方で、綺麗なグリーンの瞳をお持ちだとか・・・」
メイは、空っぽになった花柄のカップにおかわりを注ぎ、自分の方にあったすみれの砂糖付けの小皿を、エミリーの手元に近づけた。
「お二人とも何年か前に此方にいらしたそうなんですが、まだ私はここにお勤めしていなかったので、拝見したことはないんです。お二人ともその頃より素敵になっているだろうって、メイドの皆がそわそわしています。お二人が来られたら、きっとエミリー様にご挨拶なさいますね。外国の王子様と姫君なんて、滅多に拝見できません。きっと素敵な方なんでしょうね。私グリーンの瞳なんて見たことありません。一度でいいから見たいと思ってるんです」
そう言うと、夢見るような瞳で空を見つめた。
きっと逞しい想像力を働かせ、素敵な二人を想像しているに違いない。
メイの空色の瞳がきらきらと輝いた。
「そうです。もうこの先、何があっても、その方以外に氷の王子様の気を引くことなんて、誰にも出来っこありません」
シンプルなカップを両手で持ち、メイは意味ありげにエミリーを見てニッコリ笑った。
「心に決めた方・・・やっぱりそうなの?」
エミリーは、自信ありげに笑っているメイを見つめた。
「はい。エミリー様、そうです。そうに決まってます。最近のアラン様の行動を見ていれば分かります。これはもう太鼓判モノです」
――やっぱりそうなのね
思っていた通り、アラン様にはもう心に決めた方が・・・婚約者がいらっしゃる。
エミリーは俯いて両手でカップを握り締めた。
テーブルの上をじっと見つめるアメジストの瞳は、哀しげな色を放っている。
しかし、メイにはその瞳が見えない。俯いている姿は嬉しいけれども戸惑っていて、恥じらっているように見えた。
「あ、そういえば、侍女長が言ってましたけど、今年の月祭りには隣国の方々をご招待するそうですよ。えーと確か、ルーベンの王子様とラステアの姫君だとか言っていました」
「ルーベンの王子様とラステアの姫君?」
「確かお名前は・・・レオナルド様とマリア様で――」
――ルーベンは知らないけれど、ラステアはどこかで聞いたことがある・・・えっと・・・確か。
”ラステアに行ってくる”
そういえば、前にアラン様が訪問された国。そこに姫君が・・・
その方が、月祭りに、来る―――
「エミリー様、ラステアのマリア姫はとても綺麗な方だそうですよ。大臣様からアラン様のお妃にって話も出るほどです。ルーベンのレオナルド王子も素敵な方で、綺麗なグリーンの瞳をお持ちだとか・・・」
メイは、空っぽになった花柄のカップにおかわりを注ぎ、自分の方にあったすみれの砂糖付けの小皿を、エミリーの手元に近づけた。
「お二人とも何年か前に此方にいらしたそうなんですが、まだ私はここにお勤めしていなかったので、拝見したことはないんです。お二人ともその頃より素敵になっているだろうって、メイドの皆がそわそわしています。お二人が来られたら、きっとエミリー様にご挨拶なさいますね。外国の王子様と姫君なんて、滅多に拝見できません。きっと素敵な方なんでしょうね。私グリーンの瞳なんて見たことありません。一度でいいから見たいと思ってるんです」
そう言うと、夢見るような瞳で空を見つめた。
きっと逞しい想像力を働かせ、素敵な二人を想像しているに違いない。
メイの空色の瞳がきらきらと輝いた。


