アランは首に巻きついているシンディの腕を解くと、邪魔だと言わんばかりに、グイッと身体を引き剥がした。
「シンディ、もう稽古に戻る時間だ」
「はーい・・・」
口をぷいっと尖らせて甘えるように返事をしたシンディは、なにげなく窓の外を見た。
遠くの方から歩いてくる人が3人見える。銀髪の長身の人と小柄なブロンドの女の人が二人並んで歩いている。その後ろに、少し離れて黒髪の人がキョロキョロしながら歩いていた。
―――あれはお兄様だわ。エミリーさんも一緒じゃない・・・。
シンディはフッと唇を歪めた。
「お兄様ー!!エミリーさん!!」
窓から身を乗り出して、思いっきり手を振った。すると、気付いたのか二人とも手を振り返してくれた。遠くだが、エミリーはにこにこ笑っているのが分かる。
「アラン様、お兄様とエミリーさんってとても仲が良いのね。もう、お兄様ったら・・・あんなに親しげに腕をまわしているわ」
エミリーの名前を呼んだシンディの声に反応し、後ろから外を見ているアランをそっと見上げた。
「エミリーさんって、お兄様のことが好きなのかしら?今日の朝のことなんだけど、私、お兄様のペンを持ったままだったことに気がついたの。下の廊下でペンを持ったまま、少しの間、届けようかどうしようか迷っていたの。だって、私稽古があるし・・。そしたらエミリーさんが来て―――」
”「どうかしたの?」
エミリーは困っている様子のシンディに声をかけた。
「あ、エミリーさんおはようございます。これお兄様のなんですけど、私、うっかり持ったままだったことに、今気付いたの。今頃困っているかしら。届けたいけど、稽古があるし・・・」
シンディは迷うように瞳を伏せた。
「わたしが届けましょうか?」
「そんな、こんなペンなんて、一日無くてもお兄様は大丈夫だと思います。エミリーさんに頼んでまで・・・いいんです。ありがとうございました」
シンディは頭を下げて立ち去ろうとした。
「待って、わたしが届けますから。今日は演習場にいるのでしょう?行ってきますから、わたしに預けてください。ね?」”
「―――――って。別にこんな物なくても大丈夫なのにって思ったけど、ペンを渡したら、なんだかとても嬉しそうにしていたわ」
窓の外で、楽しげに話しながら歩く二人の姿。
アランのブルーの瞳がその姿を追いかける。
「・・・シンディ、時間だ。すぐに稽古に戻るが良い」
シンディの長い髪が揺れ、パタンと扉が閉まる。
アランの視界から消えていく二人。
窓の外を見る背中は、それから数刻の間、全く動かなかった。
「シンディ、もう稽古に戻る時間だ」
「はーい・・・」
口をぷいっと尖らせて甘えるように返事をしたシンディは、なにげなく窓の外を見た。
遠くの方から歩いてくる人が3人見える。銀髪の長身の人と小柄なブロンドの女の人が二人並んで歩いている。その後ろに、少し離れて黒髪の人がキョロキョロしながら歩いていた。
―――あれはお兄様だわ。エミリーさんも一緒じゃない・・・。
シンディはフッと唇を歪めた。
「お兄様ー!!エミリーさん!!」
窓から身を乗り出して、思いっきり手を振った。すると、気付いたのか二人とも手を振り返してくれた。遠くだが、エミリーはにこにこ笑っているのが分かる。
「アラン様、お兄様とエミリーさんってとても仲が良いのね。もう、お兄様ったら・・・あんなに親しげに腕をまわしているわ」
エミリーの名前を呼んだシンディの声に反応し、後ろから外を見ているアランをそっと見上げた。
「エミリーさんって、お兄様のことが好きなのかしら?今日の朝のことなんだけど、私、お兄様のペンを持ったままだったことに気がついたの。下の廊下でペンを持ったまま、少しの間、届けようかどうしようか迷っていたの。だって、私稽古があるし・・。そしたらエミリーさんが来て―――」
”「どうかしたの?」
エミリーは困っている様子のシンディに声をかけた。
「あ、エミリーさんおはようございます。これお兄様のなんですけど、私、うっかり持ったままだったことに、今気付いたの。今頃困っているかしら。届けたいけど、稽古があるし・・・」
シンディは迷うように瞳を伏せた。
「わたしが届けましょうか?」
「そんな、こんなペンなんて、一日無くてもお兄様は大丈夫だと思います。エミリーさんに頼んでまで・・・いいんです。ありがとうございました」
シンディは頭を下げて立ち去ろうとした。
「待って、わたしが届けますから。今日は演習場にいるのでしょう?行ってきますから、わたしに預けてください。ね?」”
「―――――って。別にこんな物なくても大丈夫なのにって思ったけど、ペンを渡したら、なんだかとても嬉しそうにしていたわ」
窓の外で、楽しげに話しながら歩く二人の姿。
アランのブルーの瞳がその姿を追いかける。
「・・・シンディ、時間だ。すぐに稽古に戻るが良い」
シンディの長い髪が揺れ、パタンと扉が閉まる。
アランの視界から消えていく二人。
窓の外を見る背中は、それから数刻の間、全く動かなかった。


