「エミリー様!どうしてこちらに来られたのですか!?お前、何故ここに連れて来た!?」
遠くから走って来たのか、息を弾ませながらウォルターが護衛に詰め寄った。
ウォルターの一言で少し散った人波が、驚いたような表情を見せながら後退り、また少し減って行く。
気が付くと、ジェフがいつの間にか脇に立っていて、団長クラスの兵士が全員集まり、周りを威圧するように鋭い瞳を配っていた。
エミリーを囲んでいた下級兵士たちは、すごすごと引き下がって行く。
いつもの護衛が遠くから走り寄ってきてジェフたちの隣に並んだ。
清楚な身体の周りは背の高い壁でしっかり囲まれ、兵士たちからの視線をしっかりと遮った。その輪の真ん中で向き合うエミリーとウォルター。
「シンディさんに頼まれて、パトリックさんに渡すものがあって来たんですけど・・・」
「パトリック様は今は政務塔に行かれています。時期に戻られますが―――全く・・どうして―――」
ウォルターは眉を寄せ、厳しい顔つきで見下ろしている。
「あの・・・もしかしてウォルターさん、何か怒ってますか?」
「いいえ、違います。怒っていません。怒っていませんが、アラン様はエミリー様がこちらにいることをご存知なのですか!?」
―――なんだか怖い・・・怒ってないって言っているけれど、こんなウォルターさんの顔は初めて見る。
「あの、多分、シンディさんが伝えてくれているはずですけど・・・」
「シンディ様が?」
後ろの壁の一部がサッと別れ、優しいオーラがスッと輪の中に入った。優しい腕がすっぽりと肩を包み込む。
「ウォルター、そんな怖い顔をするな。エミリー、君がこんなところに来ちゃ駄目だ」
パトリックのブルーの瞳が心配そうに横から覗き込んだ。
「今ここには下級の兵士が沢山いる。いつも君の周りにいる兵士たちとは違う。どうしてここに来たんだい?」
「あ、パトリックさん。これを―――」
エミリーは、握りしめていたペンをパトリックに渡した。
「これは―――?」
「シンディさんに頼まれたんです。パトリックさんの大切な物だから届けて欲しいって。特別なペンだって言うから、落とさないように握りしめてきました」
楽しげに笑うエミリー。反対にパトリックはブルーの瞳を思案気に伏せ、暫く考え込んだ。そして何か思い至ったように瞳を上げると、柔らかく微笑みながらペンを体の前にかざした。
「あぁ、これ、大切なペンなんだ―――ありがとう」
「いいえ、良かった・・・ここは思っていたより広くて。パトリックさんが見つからなかったら、どうしようかと思ってたんです」
「しかし、君はもう少し自覚する必要があるな・・・」
遠くから走って来たのか、息を弾ませながらウォルターが護衛に詰め寄った。
ウォルターの一言で少し散った人波が、驚いたような表情を見せながら後退り、また少し減って行く。
気が付くと、ジェフがいつの間にか脇に立っていて、団長クラスの兵士が全員集まり、周りを威圧するように鋭い瞳を配っていた。
エミリーを囲んでいた下級兵士たちは、すごすごと引き下がって行く。
いつもの護衛が遠くから走り寄ってきてジェフたちの隣に並んだ。
清楚な身体の周りは背の高い壁でしっかり囲まれ、兵士たちからの視線をしっかりと遮った。その輪の真ん中で向き合うエミリーとウォルター。
「シンディさんに頼まれて、パトリックさんに渡すものがあって来たんですけど・・・」
「パトリック様は今は政務塔に行かれています。時期に戻られますが―――全く・・どうして―――」
ウォルターは眉を寄せ、厳しい顔つきで見下ろしている。
「あの・・・もしかしてウォルターさん、何か怒ってますか?」
「いいえ、違います。怒っていません。怒っていませんが、アラン様はエミリー様がこちらにいることをご存知なのですか!?」
―――なんだか怖い・・・怒ってないって言っているけれど、こんなウォルターさんの顔は初めて見る。
「あの、多分、シンディさんが伝えてくれているはずですけど・・・」
「シンディ様が?」
後ろの壁の一部がサッと別れ、優しいオーラがスッと輪の中に入った。優しい腕がすっぽりと肩を包み込む。
「ウォルター、そんな怖い顔をするな。エミリー、君がこんなところに来ちゃ駄目だ」
パトリックのブルーの瞳が心配そうに横から覗き込んだ。
「今ここには下級の兵士が沢山いる。いつも君の周りにいる兵士たちとは違う。どうしてここに来たんだい?」
「あ、パトリックさん。これを―――」
エミリーは、握りしめていたペンをパトリックに渡した。
「これは―――?」
「シンディさんに頼まれたんです。パトリックさんの大切な物だから届けて欲しいって。特別なペンだって言うから、落とさないように握りしめてきました」
楽しげに笑うエミリー。反対にパトリックはブルーの瞳を思案気に伏せ、暫く考え込んだ。そして何か思い至ったように瞳を上げると、柔らかく微笑みながらペンを体の前にかざした。
「あぁ、これ、大切なペンなんだ―――ありがとう」
「いいえ、良かった・・・ここは思っていたより広くて。パトリックさんが見つからなかったら、どうしようかと思ってたんです」
「しかし、君はもう少し自覚する必要があるな・・・」


