避暑地から帰って以来、
部屋に閉じこもっている祐雫を心配して、
祐里は、祐雫の部屋の扉を叩いた。
「祐雫さん、ご機嫌いかがでございますの。
お食事もほとんど召し上がってございませんし、
おばあさまや紫乃さんまでが心配してございます」
祐里は、窓辺の長椅子に凭(もた)れて、
窓の外をぼんやり眺めている祐雫を気遣った。
「母上さま……
祐雫は、何だかとてもおかしな気分でございます。
何も手がつきません」
祐雫は、避暑地から戻ってからというもの
虚脱感に苛(さいな)まれていた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…