「さぁ、送って行きましょう。 遅くなってしまいました」 慶志朗は、薄れ始めた虹とともに 現実の時間に戻った。 「はい」 二人は、そのまま手を繋いで歩き出す。 祐雫は、虹が消えるとともに 慶志朗とのひとときが消えるような気分に陥って 沈み込んでいた。 それからは、二人とも無言になって、 手を繋いだまま足早に森を歩いた。