「祐雫さん、少し遠回りをしましょう」 慶志朗は、森の先を見上げて突然祐雫の手を取った。 「はい……」 慶志朗は、急に足早になり、祐雫の返事も待たずに 腕をぐいぐい引っ張った。 祐雫は、頷きながら、 慶志朗から手を引かれるままに足を速めた。 祐雫は、途中で息が切れそうだった。 慶志朗は、前だけを見つめて、走り続けた。