「さぁ、どうぞ」


 慶志朗は、雨で濡れた斜面を下る時には、先に下って、

祐雫に手を差し伸べた。


 祐雫は、慶志朗に手を引かれながら感動して


(なんてお優しい方でございましょう)


と、慶志朗の逞しい腕に見惚れていた。