記憶混濁*甘い痛み*


一度だけ指が触れてから、ついつい疎遠になってしまった。

疎遠と言う程深い付き合いではなかったのかもしれないけれど 

でも、お兄様がいるのに、積極的に異性と話すのは躊躇われた。




なんとなく和音から目を話せずにいると、テーブルの上に置かれた左手の間から、友梨のロザリオと良く似た形のロザリオと、指輪らしきものが見えた。




お祈りの最中だったのかしら……でも教会が近くにあるのに?

確かに教会に行かなければいけない訳じゃない。

私自身、ふと祈りの言葉を呟く事はどこででもあるけれど

……でも、条野さんて、クリスチャンでいらしたの?




気になりはじめたら、止まらなくなってしまった。