清んだ小川にかかる木製の橋に希理と彩は座っていた。




「希理ちゃんのお父様はいつも優しくてかっこよくてええね」



「あー…。優しいけどあんまり自由にさせられすぎて怖なるわ。
彩ちゃんのおとんの方がすごいやん!
なんや偉い研究してんのやろ?」


希理は橋を降りて小川の中を歩き始めた。



「私は…私は人を殺す為の武器を作る研究が偉いとは思わん!!」



「…彩ちゃん?」



膝の上に置いた手をぎゅっと握り締め、声を荒げる。希理は彼女のこんな姿を見たことがなかった。



「父上……人殺しになってしもた…。
全部戦争のせいや!!」



「……」



希理には彩にかけてあげられる言葉が見つからなかった。