つないだ小指


重役たちはぞろぞろと部屋を出ていく、

わたしたちに『おめでとう。』とか

『驚いたよそうだったのか。』と声を掛けていく。

ただ、副社長だけが、

少し附に落ちない顔で『残念だよ』

と怒気のある声で言ったのが気になっていた。

重役たちが出て行ったあと。


「ふ~。」と大きく息を吐いて。

郁人が私の手をぎゅっと握ってきた。


「ごめん、急で驚いたよね。昨日父さんと相談して、

 こうしようと決めたんだ。」


「菜々美は嫌だったかもしれないけど、必要だったんだ。ゴメンな。」

「分かるよ、気を遣わせてごめんなさい。

 郁人、わたしは大丈夫。郁人についてくって決めたから。」


「菜々美ちゃんすまないね、副社長のセリフ気になっただろう。

 彼は、郁人と彼の娘の縁談を持ってきてね。

 菜々美ちゃんとの婚約をはきっりさせる必要があったんだよ。


 さっきも言ったけどとりあえずはここまでだが、

 広がるのは時間の問題だってことも承知しておいてくれ。

 2~3カ月中には婚約式をするつもりでいてほしい。

 縁談さえ持ち上がらなければもう少し時間があげられたんだけど。」


「わかっています。」



覚悟しなくちゃなんだな。