つないだ小指

本社社屋に、配属された新人は6名。

女子はわたしを入れた3名と男子3名。

第4ラボは、わたしと荒川君2名が配属され、

他の新人配属先はバラバラだった。


なんていうか、

恵まれた環境に置いてやりたいという結城パパの何気ない

気配り(贔屓?)が感じられる。

走りだしは大切だ、感謝して進もうと思う。


他の部署は、直属の上司が迎えに来ていたが、

わたしたちは、迎えに来られないので直接来るようにとの伝言で、

荒川君と二人社屋を探しながら移動する。


「君って、試験トップだったんだって?」


「さあ?そういう風にいう人もいるけど、

 直接答案とか返されたわけじゃないから分かりません。

 大体、あの試験トップてどう決めるんです?」


「はは、論文みたいな試験だったね。」


「でしょ、たまたま、ニ-ズが合ってたのかも知れませんね。」


「なるほど、そこだね。」


「え?」


「大事なことだよ。それこそが、企業が求めていることだ。

 ふふっライバル発見。

 負けないよ佐伯さん。よろしくね。」

「はい、よろしくおねがいします。」


同期だけど荒川君は、自分をちゃんと持ってる大人だ。そう感じた。

わたしも気を引き締めよう。