「菜々美の家族は俺が作る。」



結城パパも、私も言葉を失っていた。


「な-な!」


静寂の均衡を破って愛菜が声をあげた。


「愛ちゃん菜々はここだよ。」


よたよたと歩いて私の所にやってくる愛菜を愛しそうにみつめた郁人は、


再び話し始める。



「俺、菜々美と結婚したいんだ。だから、養女になられるのは困る。」


「郁人。でも私はっ、、、」


「菜々美を縛るつもりはないんだ。


すぐに結婚というわけじゃないし。


お前の未来は俺のものじゃないし


お前の意思は尊重したい。


ただ、俺の気持ちは知っていてほしい。


俺たちの家族になるならその役目はおれにさせて。」



そう、私の引っかかっていた気持ちも同じだった。


郁人を思う私の気持ちだ。


でも、まだ言えない。なぜなら私は郁人を傷つけてばかりだったから。