菜々がドアノブを回すと、鍵が開いていた。 菜々と真奈が顔を見合わせる。 真奈がこくりと頷くと、菜々はドアを開けた。 恐る恐る部屋の中を覗く。 カーテンは閉めきってあって、暗い。 それから、どこからか水音がする。 「パパ? いないの?」 菜々がもう1度声をかけるが、返事はない。 人がいる気配すらない。 「水音は……お風呂場の方か」 真奈が呟くように言った。