自分の母親が殺されたんだ。 泣き続けるのも分かる。 だけど、それを宥めていたのは健二じゃなくて、優梨だった。 健二はその様子をただ、じっと見ていた。 「とりあえず、みんなに聞いてみない? 咲子さんの近くに行ったかどうかをさ」 「みんな、本当のこと言うと思う? 犯人にされたくないから、嘘吐くに決まってるよ」 寛子の提案を、優梨がばっさり切った。 警察でもない人に、真実なんて話してくれる訳がない。