優梨が、菜々の手に新しい傷があるのを発見して、聞いた。 「え? あっ、また転んだんだ」 照れ笑いしながら答える。 菜々の傷は、逢うたびに増えていた。 腕や足、首などにも鞭打ちみたいな痣や切り傷がある。 そんなにドジじゃないはずなのにと疑問を持ちながらも、それ以上は聞けなかった。 聞いたところで、菜々は答えてくれないだろうと感じていた。 「本当に気を付けなよ?」 だから優梨は、こんなことしか言えなかった。