「でも、ごめんなさい。
こんなことした私は、あなたの傍にはいられないから……。

もっと他の人を好きになって、幸せになって。
今度こそ、ちゃんと大切にしてあげて」




そう言って、今度は優梨が健二の頬に触れた。




「私は、この事件を起こしたこと、後悔していないよ。

だけど……後悔している。
あなたの傍にいられなくなったこと。

私のことは、忘れてね?
私はずっと、あなたの幸せを願っているから……」




寂しそうに笑った。



こうして長い夜が明けて、閉じ込められた空間で起きた恐怖も、終わりを告げた……。