「優梨、人を殺すのに正しいことなんて、何1つないんだよ」




真奈が優しく言う。



正しいことなんて、1つもない。


だけど、感情には勝てない。




「分かっているよ。
後に残るのは何もなくて、全てを失うだけ」




真奈の言葉に頷く。


優梨も頭では分かっていた。


それでも、許されないことだってある。




「でも、さっきの話しを聞いて、麻衣を許すことは出来なくなった。

大切な人を、卑怯な手を使って奪った。
私はただ、傍にいて欲しかっただけなのに。
それすら出来なくなって、忘れる努力までしたのに……」