真奈がそう思うのも頷ける。


だってそこは、何の変哲もない、普通の部屋の扉だから。




「この部屋だけ、鍵を持っていません」




美希はそう言うだけだった。



その部屋は玄関から1番遠く、2階の奥にある場所。


しかも、柱の陰に隠れたような場所。


場所だけは、変哲だ。



鍵がないから、もちろん誰も泊まっていない。