「実優ちゃん、わたしのお乳は飲んでるかい?」
牛さんが、尋ねます。

実優ちゃん、にっこり笑って言います。
「飲んでるよ、美味しいね。
でもね、実優ちゃんよりお父さんの方が、たーくさん飲んでるよ。」

「そうかい、そうかい。
お父さんも飲んでくれているのかい。
それじゃ宗亮くんも飲んでくれるかな?」

「大丈夫よ、宗亮も好きになるよ。」

牛さんと別れて、ベビーカーを押している実優ちゃんです。
“ツンツン”と、お尻を突付かれました。

びっくりして後ろを振り向くと、
赤いとさかが立派なニワトリがいました。

「キャッ!」と、
実優ちゃんが声を上げると
ニワトリさんも
「コケッ!」と、声を上げました。

たくさんのニワトリさんたちが、集まってきます。
あっという間に、囲まれてしまいました。

「ワアーッ!」と泣きながら
ベビーカーを押して駆け出す実優ちゃんです。

たくさんのニワトリさんたちが、
実優ちゃんを追いかけてきます。

「えーん、えーん!」と
宗亮くんも泣いています。

牛さんが、ニワトリさんたちに言いました。
「実優ちゃんたちをいじめちゃだめだよ!」

ニワトリさんが言います。
「ごめん、ごめん。かけっこ競争かと思ってね。」

「それじゃ、鬼ごっこしようか?」
実優ちゃんの提案で、みんな大喜びです。

鬼さんになった実優ちゃんから
一生懸命逃げ回ります。

ニワトリさんたちの足が速いので、
とうとう見失ってしまいました。