両手いっぱい?チョコを?有り得ない、有り得ない。大体、チョコなんて学校に持ってきていいはずがないだろうに。先生だって、注意くらいはするはずだ。
「ルミさん。僕はチョコを貰えませんよ?何せ、転校生だし、あまり女子とは話してませんし……」
僕が、言うとルミさんは、さあね〜と言いながら、自分の部屋に入っていった。どうやら、コーヒーを飲んで、多少は回復したみたいだ。
大体、ルミさんはなんで、締め切りギリギリまで、原稿をとっておくんだろうか……前々から、書き始めれば、間に合わはずなのに。ルミさんは、大体一週間前から、焦り始める。どうやら、作品と言うのは、気分によって書くスピードが違うらしい。
僕は、食器を流しに入れ、歯磨きをして、自分の部屋から、ランドセルを持ってきた。二月だから、寒い。コートを着て、自分の部屋にいる、ルミさんに声をかけた。
「ルミさん。学校行ってきますよ?仕事は、行ってくださいね!」
はいはい、と言う返事と同時に、ルミさんが部屋から出てきた。仕事着を着ていた。準備が早い!ルミさんは、化粧をあんまりしない。してることはしてるんだろうけど、若いからか、元々なのか、何も塗らなくても、肌は白かった。



