時が止まったような感じがした。松本も、まばたきすらしない。完璧に、固まっていた。僕は、松本が何か言うまで、黙って下を向いていた。
「……ちょ、悪い悪い。ジョークについていけなかったわ、悪い悪い。」
松本が笑いながら、僕に言う。僕は、顔を上げず、未だに下を向いていた。そんな僕を見て、松本は笑うのを止めて、言った。
「……本当なのか?」
僕は、ゆっくりと頷く。
「おいおい、それはないぜ。だって、佐藤お前ボスに、チョコでも、クッキーでもいいって言ったじゃんか。」
「……それは、どちらでもいいってだけで、別に好きなわけじゃないので……。」
二人の間に流れる沈黙。もう言葉で表すならば、『てんてんてん……』だろう。僕は、恐る恐るゆっくりと、松本を見た。いつの間にか、松本が目の前にいた。思わず、驚いて一歩後ろに後ずさってしまった。
「お前さ、それどーすんだよ。」
松本は、僕が両手に抱えてるものを指差して言った。それってのは、チョコレートのこと?せっかく、作ってくれたのに、どうするんだって言いたいんだろう。



