僕のお母さん2




放課後。帰り道。





「松本、僕バレンタインって、静かに終わるものだと思ってた。」





松本と僕は、二人揃って、通学路をてくてくと歩いていた。なんだろう、この周りの視線は……





当たり前と言っちゃ、当たり前の視線だった。何せ、僕と松本は、両手に可愛くラッピングされた箱を抱えているのだから。





「馬鹿やろう。去年は、今年よりまだ穏やかな、バレンタインだったぜ。佐藤と一緒にいたから、ついで感覚でチョコ貰ったりもしたんだぜ。本当に困ったもんだ。」





そう言って、松本はため息をついた。こんなんなら、ルミさんの言うこと聞いて、袋かなんか持ってけば良かったな……。僕にまさか、こんなにチョコをくれるなんて、女の子達は、どうにかしてるんじゃないだろうか……





「そうだ、松本。今日、僕の家に遊びに来ませんか?」





僕の言葉に驚いたように、目を見開いた松本。そして、ふっと笑って、僕に言った。





「普通、もっと軽く誘うもんじゃないか?なんか、恋人を家に誘うみたいに、言うなよ。」





訳のわからないことを言って、苦笑する松本。そんなに笑えることを、僕は言ったのだろうか……。ていうかまず、普通に誘うってどんな感じだろうか。