松本は、頭をポリポリとかいてから、そっぽを向いて、小さい声で言った。
「俺は、なんの意味も無いチョコを、毎年貰うんだよ……沢山。で、今年も貰うだろうけど、袋とか持ってくると、今年も貰う気満々みたいに、思われるのが嫌なんだよ。」
松本も、案外苦労人なんだなと思った。でも、一つ勘違いをしていると思う。多分、松本に毎年あげてる人は、少なからず彼に何らかの、感情があるのは確かだ。松本は、男の僕から見ても、なかなかカッコいい見た目だと思うし、何より僕と友達になってくれる程だから、優しい。モテないと言ったら、嘘になるだろう。
僕と松本は、いつの間にか学校に着いていた。今の小学校は、前の小学校より、少しでかいなと思う。そういえば、ついこの間まで、こんな生活送るとは思っていなかったよな……
僕と松本が、教室に入る。すると、一気に視線が僕たちに向けられる。いつも以上の視線に、僕と松本は面食らってしまった。
「……よう、みんな。おはよう。」
「……おはようございます。」
僕らが、挨拶をしても、視線が止まない。むしろ、増えたかもしれない。でも、僕と松本はそれぞれの席に向かい、ランドセルから教科書などを出して、机の中に入れた。



