ありのままの、あなたが欲しい。

『もう嫌なの…あの子の面倒ばかりでこっちの気がおかしくなりそうよ!』

『私は一生自分を犠牲にしなきゃいけないの!?』

『どうしてあんな子を産んじゃったのかしら…』



そんな母親の泣き叫ぶ声が、宥める親父の声なんかよりもしっかり俺の記憶に焼き付いている。



その時の感情の高ぶりでつい言ってしまったことなのかもしれない。

だからこそ、それが本心だったんじゃないかと思う。



とにかく俺は悔しかった。


注ぐべき愛情が極端に足りないことも、

妹の世話は母だけに任せていたわけではないのに、全ての負担を背負っているかのような言い方にも、


腹が立って、悔しくて、悲しくて仕方なかった。