ありのままの、あなたが欲しい。

「隣に引っ越しました藤咲と言います。今日は挨拶に伺いました」



──やっぱり。


藤咲さんという美女は、笑顔のまま軽く頭を下げて手土産を渡してくれた。



「わざわざすみません」


「いえ、ほんの気持ちですので!
よろしくお願いします、とうかいりんさん」


「………。」



俺の笑顔が固まった。



「……しょうじです」


「“とうかいりん しょうじ”さん?」


「とうかいりんと書いて、しょ・う・じです!」


「えっ!?あぁ、そうなんですね!?」


はっとして口に手を当てている。


この人美人だけど……天然?