──ドーン!という振動まで伝わってくる大きな音に、私は再び我に返る。
「上がった上がった~!
すごーい!花火よく見える~!」
夜空に大きな花を咲かせた色鮮やかな光の粒を、食い入るように見上げる愛斗。
私も同じように窓からその儚い花を眺めながら、秋とショージさんのことを想った。
「すごいね…本当に特等席だね」
「とくとーせき?」
「一番いい場所ってこと」
「へぇ~!ショージも一緒に見たいのに~。早く来ないかなぁ」
──そう、あれからもう二時間以上何の連絡もない。
今は冬じゃないんだから、あんな事故に遭うことはないのに不安が拭えない。



