「だって、そうじゃない??」


今なら言える。


「今まで、社長の娘として大事に育てられてきて」


「うん」


「周りには、いつも誰かが居てさ」


「うん」


「私一人じゃなにも出来なくて…」


「もう、いいよ」


「どうしろって、言うのよ…」


「もう、いいよ、泣かなくて」



気づいたら泣いていた。


頭を包みこむ大きな手。



「ひどい顔…」



そう言って、微笑む。


初めて唯斗の優しさに触れた朝。