『はぁ‥』


最近の私は ため息ばかりだなとつくづく思う。



こんな気分の時は大好きな桜を見たらスッキリするだろうか…



そう考えた私は昼休みに あの大きな桜の木の下に行くことにした。







『んー…っ』


中庭の桜は段々と蕾を開き始めているとはいえ、まだせいぜい三分咲き程度。



こうやって眺めていると、入学式の時の満開に咲き誇った桜を思い浮かべてしまう。


あの日は凄く綺麗だったよなぁ‥





そういえば 入学式は4月だったもんね。


それに比べて今はまだ2月…



暖冬だと言われている今年だけど、流石にまだ早いよね



『ふぅ‥』


思わずため息が漏れてしまう。




卒業式までには枝いっぱいに花咲かせて欲しかったのになぁ‥










もうすぐ5時間目の始まる時間だと思い、教室に戻ろうとした時だった。



誰かの話し声が聞こえてきて思わず足を止めてしまう。


声の主が分かった時


私は慌てて桜の木の影に隠れてしまった。



「急に呼び出しちゃったりして ごめんなさい


先輩が卒業しちゃう前に
どうしても伝えておきたくて…」


「いや
別にいいよ」



そう微笑んでいるのは紛れもなく葉先輩だ。


見知らぬ女の子と一緒にいる。