その日の放課後。

私は気持ちを伝えることを雫に相談しようと決心した。


放課後の教室には2、3人しか残っておらず話すなら今だと思った。


“雫”


私は雫に手話で話しかける。

学校で私が手話を使うことなんてめったにない。


だからか雫は少し驚きながらも返事をする。

「…どした……?」

不安そうな雫。

“……私、陸翔、気持ち、伝える、”

私が初めて手話を勉強したのは2年前。

まだまだあまり慣れない手話で雫に単語を並べて伝える。


それを確かめるように雫が声に出す。


「……私、陸翔、気持ち、伝える…?」


コクン。


私が頷くと、雫はパッと花が咲いたように笑う。


「…信じてた…美和のこと。」


その目には、かすかに涙が浮かんでいて……


自分がどれだけ雫に心配をかけたか、不安にさせたか……

雫の表情から分かってしまった。


“…雫、ありがとう…”